「時差ビズ」への参加企業多数!「時差出勤」「テレワーク」などをキーワードに働き方改革に取り組む企業が参加
東京では7月11日から、「時差ビズ」が始まっています。
時差ビズとは東京都が提唱する、通勤電車の混雑緩和に向けた時差出勤運動のこと。
今回のキャンペーン期間は7月25日までの2週間だそうです。
参加を表明した企業260社の一覧を見ると、さすがは首都東京らしく、誰もが知る有名企業がずらりと名を連ねています。
各企業はフレックスタイム制度、テレワーク、朝方勤務などさまざまな取り組みをしながら時差通勤を実践するというわけです。
そしてレンタルオフィスも、企業のサテライトオフィスとして時差通勤対策に活用されています。
ストレスが増す通勤電車の混雑ピークは8時~9時
「平成24年度大都市交通センサス分析調査(国土交通省)」によると、東京23区で鉄道を利用して移動する人の数は8時から9時の間がピークだそうです。
たしかに、この時間は多くの路線がギュウギュウ詰めの満員電車。乗客はしかめ面で、ひたすら我慢。ため息が漏れることもしばしば、でしょう。
ところがピーク時間帯より早いが7時台前半や、逆にピークを過ぎた9時以降に同じ路線の電車にのってみると、混雑率はかなり下がり快適な車内環境であることが実感できます。まさに統計データの数字が示すとおりです。
別のある調査では通勤電車をストレスに感じるかという問いに対して、95%の人が何らかのストレスを感じると答えているそうです。
その原因は「混雑」、「出入り口に陣取って動かない乗客」、「汗や香水のにおい」、「ヘッドホンの音漏れ」など。
「電車の遅延」もストレスの原因としてあげられているものの、他の原因より下位になっています。
最近では各鉄道会社も通勤のピーク時間帯に、座って通勤できる特急列車を走らせるなど、通勤環境の改善に向けた取り組みを強化しています。
数百円くらいの別料金を払えば乗車できるので、通勤ストレスを軽減させる有効な手段でしょう。
けれど実際には、時間が合わなかったり、最寄りの駅には停車しないなどの理由でなかなか利用できない人も多いと思います。
身近にあったストレス知らずの時差通勤モデル
ちょっと極端な例ですが、近所に住む友人が以前、家族が入院したからといって毎日5時台の電車で通勤していたことがありました。
もちろん完全看護の病院ですから、治療に関して彼女がすることはありません。
しかし仕事帰りに必ず病院に寄って、様子を見るのと同時に洗濯物の入れ替えをしなければなりませんでした。
仕事と家事と看病を手抜きすることなく、そして効率よくこなそうとスケジュールを練って彼女が出した答えは、仕事開始時間を早朝にシフトすること。
毎朝5時台の電車で通勤し、7時半には仕事を開始。フレックスタイム制度を利用して15時半に退社すると、まっすぐ病院へ。
そして帰宅すると洗濯やその他の家事をこなして9時半には就寝し、翌朝は3時半に起床するという生活が、約3週間続いたそうです。
「きついでしょう?」
週末に偶然会ったときにそう聞いてみると、彼女はケロリとした顔でこう答えました。
「それがね、意外とそうでもないのよ。生活を早朝にずらしただけだし、なんたってあの不快な満員電車から解放されて毎日快適に通勤できるんだもん。」
そして彼女の様子も確かに、普段よりも忙しくしているはずなのに元気そうでした。
この話には、続きがあります。
3週間が過ぎて家族が無事に退院すると、彼女は翌週から、今度は生活を後ろにずらしたのです。
退院した家族の自宅療養を手助けするために、朝型から夜型へシフトしたというわけ。。
6時に起床すると家事や一日の食事の用意をして、家族の治療や着替えを手伝い、自分の身支度をして9時台の電車に乗っていたそうです。
だいたい11時から19時までが仕事時間。仕事が終わるとまっすぐに帰宅し、家事や家族のケアの続きをこなして深夜1時頃に就寝、という生活です。
「きついんじゃない?」
前と同じ質問をすると、彼女はこう答えました。
「正直、入院してくれてた時よりはちょっと大変。だけどオフピーク通勤してるから、なんか毎日気分がいいのよね。」
彼女の通勤時間はたしか、片道1時間ちょっと。いえ、1時間半くらいだったと思います。
その時間を満員電車の中で過ごすか、ガラガラとはいわないまでも空いている電車内で過ごすかによって、身体的・精神的疲労が軽減されたことは間違いなさそうです。
先ほどの友人の例は結果的に、フレックスタイム制度を上手に利用して時差通勤を実践した話になっています。
時差通勤が認められている会社はまだ、日本企業のなかの、ほんの一握りかもしれません。
しかし東京で始まった時差ビズをきっかけとして時差通勤への取り組みがもっと増え、日本から通勤電車のストレスがなくなる日は近いかも。
フレックスタイム制度の他にも、企業の事業所ではなくレンタルオフィスへ出勤することによって、時間を有効活用している例もあります。働きやすさや、業務の効率を上げるためのさまざまな取り組みが、もっともっと日本中に拡がるといいですよね。